Nania News
幼稚園で発行されている、ニュースから抜粋してお届けします。
![]()
<2000年以前> 2001年 2002年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年
![]()
No.61 14th Dec. 2000
今年も残すところあとわずかになりました。常夏の国マレーシア、ここは季節感がないためか、毎日が同じように流れているようですけど、ふと気がつくと、あっという間に時が流れてしまったように感じる事がよくあります。皆様の2000年はいかがでしたでしょうか?
ナニアにとって4年目の年、おかげさまで今年も無事1年を終える事ができます。ナニアが始まった頃、子供達の背丈ぐらいしかなかったサクラの木が、今では2階の屋根まで届くようになり、子供達をブランコに乗せてくれています。5cmくらいだった小さなかめ君も20cmぐらいの大きさになり、子供達にかわいがられています。
子供達も、それぞれが大きく成長しています。クリスマスの会に向けて練習をする中、とても感動的なことがありました。どうしても皆の前でカエルさんをするのが苦手だった子が、お友達に励まされて、そしてその子自身の「やりたい」と言う意志の力によってできるようになりました。何かを越えることができたその子の笑顔は本当に素晴らしいものでした。そして、その事を心から喜んでくれるほかの子供達の笑顔も、それはやさしいものでした。また、大きな声で名前やお願いごとが言えるよう頑張っている子もたくさんいます。どうにも恥ずかしくて言えない時は、みんなで一緒に言っています。日本の病院で頑張っているまさひろくんのことを思う子供達、まゆかちゃんが走れるようになったりお話できるようになって欲しいと願う子供達。クリスマスに向けてそれぞれの子供達の心にやさしい光が抱かれているのを感じます。
これから、クリスマス、お正月とそれぞれのご家庭で色々な行事を予定されていることでしょう。どうぞ、楽しいクリスマスそしてよいお年をお迎えください。
![]()
<クリスマスの会が明日になりました>
・子供達は9時からおやつで食べるパンを丸めます。お母様方で見てみたいと思われる方、早めに来られても構いません。一緒に丸めてください。全員、10時前にはお集まりください。
・子供達が作ったくつの中に今半学期のペインティング、クレヨン画、それからナニアからの小さなプレゼントを入れて持ち帰らせます。プレゼントの中身は、星とゴムの実です。
![]()
先日、まゆかちゃんのお父様がナニアを尋ねてくださり、クリスマスプレゼントを置いていってくださいました。永田さん手作りのみみずくと、クリスマスのキャンドル、それからクリスマスツリーの種と卵の形をした鉢です。みみずくくんたちは子供達から名前を付けてもらいました。ツリーの種は植えたのですが、まだ芽が出てきません。みんなで待っているところです。
![]()
オーストラリアでシュタイナー教育法を勉強中のリンさん(元ナニアのアシスタントの先生)がクリスマス休暇でナニアをたずねました。子供達は突然の再会に、うれしいやら、びっくりするやら、と言う感じでした。リンさんが教育実習をしている幼稚園の話を聞いた後、「どんなケーキを焼くの」「どんな飾りをケーキの上に置くの」「パンを焼くの」「砂場遊びをするの」「子供達はぼく達と同じ顔をしてるの」とたくさんの質問をしていました。次の日お手紙を持ってきてくれた子もいます。私自身も、リンさんが2001年12月にペナンに帰ってきてから、どんな形でどんな事が一緒にできるか夢を膨らませているところです。
![]()
No.60 27th Nov. 2000
クリスマスの会12月15日(金)10:00から11:00(子供達は平常どおり登園)
天井ファンがカラカラ回る熱い国マレーシアにも、もうすぐクリスマスがやってきます。ジングルベルの歌とともに、町はクリスマスツリー、華やかなライトで飾られ、プレゼントを買い求め、クリスマスディナーの予約、パーティーの洋服作りと、きらびやかで忙しい時期。
でも本当はクリスマスって何でしょう。こんなに華やかな行事が行われる時は、いつもそれが華々しくなればなる程、その流れに乗りたくても乗れない人たちがたくさんいる。金持ちと貧しい人の差があまりにも明らかに浮き出される時期。クリスマスがただ単にものを消費するだけのものだったら、子供達が単にお金で買ったプレゼントをもらって喜ぶだけだったら、残念な事です。この時期、町の華やかなライトの明かりを外に見るだけでなく、自分自身の心の中に真の光を抱くことができたら、どんなにすばらしいことでしょう。
ナニアの子供達は、今はまだ小さい子供達ですけど、自然に他の人のことを考えられる、そんな人間に成長して欲しいという願いから、このクリスマスの会を計画してみました。又、一年の終わりの会と言う意味で、この一年をそれぞれ振り返りたいと思います。お母様方には、子供達の水彩画を利用したカードを、それぞれの子供達の写真入で作り、お渡しします。お父様方の仕事の関係で1年経てば3分の2以上の子供達が入れ替わってしまうぐらい出入りの激しいナニアですが、1日1日が、一つ一つの行事が、それぞれの子供達にとって大切なものとなってくれたらと言う思いと共に、ナニアの1年を終わりたいと思います。
![]()
<プログラム>
9:00-10:00 子供達でおやつのパン作り(クッキーは前日に焼きます)
*お母様方に焼きたてのパンをごちそうします。
10:00-10:30 子供達の発表(お母様方10時少し前に集合してください)
・あいさつ
・クリスマスの詩、歌
・キャンドルと一緒に
名前、幼稚園で好きなこと、お願いごとを言います
・カードを渡す
10:30-10:50 おやつ
10:50-11:00 お話 Good-bye Song
![]()
3歳児は、全部一緒にするのが難しいようですが、彼らのやり方で参加しています。
お願いごとは自分以外の人のためにお祈りしましょうね、と投げかけると、やはり身近のお友達のまさひろ君やまゆかちゃんのことが大部分になりました。
![]()
<クリスマスの詩>
さむい北の国々と
あつい南のマレーシア
世界中の子供達がクリスマスを待っています
サンタクロースのおじいさん
ほらほらあそこに泣いてる子、忘れないでね、プレゼント
サンタクロースのおじいさん
ほらほらあそこに病気の子、忘れないでね、プレゼント
サンタクロースのおじいさん
泣いてる子が笑ったら、うれしいね
サンタクロースのおじいさん
病気の子がなおったら、うれしいね
ぼくも、わたしも、サンタクロースのおじいさん、大好き
![]()
No.59 20th Nov. 2000
アジア太平洋人智学会議(人智学はシュタイナーの哲学です)
今回の会議は静岡県の山の村(富士山1000mのところ)で180名(海外から約
65名)の参加者で行われました。この会議のテーマは、「自由の秘密」と言うことで、色々な角度からそのテーマに向けて講義、分科会が行われました。私自身、各国の文化紹介の中でこの会議のテーマに沿って、アジア的な角度からのメッセージを伝えたく、人形劇をしてみました。
また、この山の村で180名もの参加者をまとめ、会議を運営した日本の実行委員さんたちの働きぶりには、頭が下がりました。日本人女性のボランティアの数も多く、口数少なく、テキパキ生き生きと働く彼女達から、さわやかなエネルギーをもらい、日本はこういう縁の下の力持ちのお陰でもっている、未来があると感じました。そして、私自身日本人に生まれたことを誇りにも思いました。
また、教育会議では日本の中でのたくさんの活動が報告され、イギリスのエマソン大学時代の友人達が日本国中でがんばり、特に京都では彼女達が中心になって、来年3月、日本で第2番目のシュタイナースクールが始まる(京田辺シュタイナー学校)という事、とてもうれしく思いました。また、私たち自身、アジアでこの教育を広めていく中での方向性も少しずつ見えてきたように思えます。
西のドイツから始まったシュタイナー教育を東のアジアで広めていく中、その地その地の独自性に合わせて、教師は創意工夫し、研究実践を重ねていかなければいけないと思います。ただ、「自由への教育」と呼ばれるシュタイナー教育の根本、自分の欲や利害を超え、本当に大切な事、自分のなすべき事を選択し、実行していける人間を育てる教育という事では、どこでも同じです。
![]()
この12年間に1ヶ月しか日本に滞在していない私にとって、「ここはどこ」「私は誰」「どうしてこんなにお金がいるの」とリエントリーショックも少々あったのですが、そんな中、梅田駅で全く知らないおばあちゃんに話し掛けられ、しばらく立ち話をした事など、心暖かな思いでもあります。
また、ある友人は来年末ナニアは現在の家を買うか、移るかしなければいけないけど、まだその資本がないというのも耳にしたあと「金は天下の回りもの、必要なところに行って大切な事に使われることが大事」とポンと封筒を渡してくれました。彼女の少ない給料から出たものだけに、ますますマレーシアで頑張らなければいけないと励まされました。
![]()
それから、広島の病院のまさひろ君を熊本のまゆかちゃん一家と一緒に訪ねることができたのは、何にも代えられないことです。まさひろ君はきつい治療に一生懸命耐えていました。彼の大きな脳腫瘍を取り出す手術ほど成功した例は他にないくらい、奇跡的なことだったそうです。治療は長引いていて来年3月くらいまで続くそうですが、彼なら乗り越える事ができると天使のような笑顔を見て思いました。着いた時は、まさひろ君は寝ていたのですが、まゆかちゃんと歌を歌ったり、まゆかちゃんがそっと手を触れる中、目が覚めるととてもうれしそうに笑っていました。歌もお友達の名前もたくさん覚えていました。まゆかちゃんも頑張っていて、ひとりで上手に歩く事ができるようになり、足がしっかりしていました。二人が一生懸命手を握って歌うのを見ながら、ナニアでの様子が思い出され、ナニアの子供達(現在いる子も離園した子も)みんなが、その場にいるように感じました。まさひろ君のお母様が皆様のお気持ちに大変感謝されていました。お父様にはお会いできなかったのですが、くれぐれもよろしくお伝えくださいということでした。今日もたくさんの鶴(今回永田さんが1000羽、ナニア関係から2000羽くらい持っていきました)や手紙、プレゼントがまさひろ君を励ましている事でしょう。
小さな彼が一生懸命生きようとしています。これからも前向きな思いをまさひろ君に送ってあげたいと思います。また、ダウン症のまゆかちゃんも、やさしいご両親に見守られ、周りの人に愛を与え、周りの人から理解され、のびのびと大きくなっていって欲しいと思います。今回の会議の中の講義でありましたが、日本は経済的にはアジアの中で先頭に立って行っていますが、精神的に真の強さを持ってこそ、本当のアジアのリーダーと言えるのだと思います。どこの国でも同じですが、大人の社会が真の生きる道を求めれば、小さな子供達はのびのびと自分の進むべき道を生きていける事でしょう。一生懸命生きようとする子供達がみんな幸せになれる時代であって欲しいと願っています。
![]()
皆様からの鳥取西部地震募金は、会議の責任者の方が関係機関に送ってくださいました。マレーシアで手足口病の悪性のものが流行っていた頃、自分達の事でも大変なのに、皆様が震災に遭われた方のために心から募金してくださった事、お金の額以上に大きな力が届けられたと信じています。
![]()
最近咳の出る風邪が流行っています。子供達が調子が悪い時は、大人も移ってしまいます。次のことはチャイニーズのマッサージの先生に教わり、私自身実行して効果を上げていることです。
・朝起きてすぐ塩水を口内の唾液と一緒に飲み込む。(朝一番の唾液は抗菌効果があると言う事でした)
・首の後ろをマッサージする
・ヨガのポーズのひとつですが、床に仰向けに寝て、体を曲げゆり動いて背骨のマッサージをする。
![]()
ローカルの子供達ようの土曜クラスをはじめました。まだ少人数ですが。マレーシアで少しずつシュタイナー教育が広がっていくきっかけになってくれたら、と思っています。
![]()
クリスマス会を、今学期の最終日12月15日に予定しています。
![]()
No.58 10th Oct. 2000
手足口病
1997年にサラワク州で流行った(31人の子供たちが亡くなりました)コクサキB型ウイルスによる手足口病がシンガポールで流行っていて、4人の子供たちが亡くなっています。そして対岸のマレーシアジョホールにも入ってきて、先日子供が一人亡くなりました。A型ウイルスによる手足口病は軽いものですが、B型ウイルスになるといろいろ合併症を起こし、命取りになる危険性が高いようです。ペナンではB型のものはまだ報告されていませんが、何人かの子供たちが手足口病になっているようです。大変な事にならないよう、十分に気をつけ早めに発見し、もし異状が見られたらすぐ専門医に相談してください。しばらくの間、ミニプールはお休みにします。よろしくお願いします。
![]()
今週12日(木曜日)は今半学期最後の小麦粘土の日です。その日、子供たちが作ったものをタッパーに入れて、おかあさんへのプレゼントとして持ち帰らせます。ナニアでは半学期毎に粘土を作り替えています。持ち帰ったものはまだしばらく遊べるかもしれません。
![]()
=ナニアのガーデン情報=
畑のオクラとチリがだんだん大きくなってきました。ロングビーンは2本カタツムリに食べられてしまい、残りの1本も元気がありません。スターフルーツもだんだん大きくなってきましたよ。子供達は、時々コンポースを野菜の回りにおいてくれます。「パパイヤさんにも実をつけてもらいたいから、コンポースをあげるね」と大きなパパイヤの回りにも置いていました。
![]()
<有機野菜>
11月分の申し込みを今回は10月20日までにお願いします。
前回の大根は傷んでいませんでしたか?もしそういう方がありましたらお知らせください。
![]()
ナニア関係でも、鳥取出身や、現在在住の方が何人かいらっしゃいます。
心より地震のお見舞いを申し上げます。
![]()
No.56&57 25th Sep. 2000
<感謝祭のご案内>
種まき、収穫などの体験から、食べ物、食べ物を作ってくれる人、自然界への感謝の気持ちを養う事を目的としています。
10月20日
9:00 - カレーライス作り、簡単なおやつ
10:30 - トイレ・準備
10:45 - 発表
11:30 - カレーライスの昼食
12:10 - トイレ・Good-Bye Song
12:30 - 降園
![]()
「感謝祭の詩」
おひゃくしょうさんが やさいのたねをまきました
すると ちいさなめが でてきました
がんばれ がんばれ
ちいさなめは おひさま あめさん かぜさんに たすけられて
おおきく おおきく なりました
カレーライスのおやさいも
おやつでたべるパンも
たくさんのひとによって つくられました
おひさま あめさん かぜさん ありがとう
おひゃくしょうさん ありがとう
おみせのひと ありがとう
そして おかあさん まいにちおりょうりしてくれて ありがとう
![]()
当日は使い捨ての紙皿、紙コップを使います。残飯などはコンポース用のバケツを用意していますのでそれに入れてください。子供たちはコンポース(たい肥)を作っているところを知っていて、落ち葉を集めてそこに持っていっています。畑のご飯を作っていると説明しています。
感謝祭に向けて、挨拶、詩、歌の練習をはじめました。小さい子供たちにとって室内での発表は今回が初めてだと思います。小さい場合、その日のムードなどにも左右され、特にたくさんのお母さんたちがしかも2階から参観ということで少し心配なところもあります。もしお子さんが雰囲気に圧倒されているようでしたら、お母さんたちも一緒に輪の中に入っていただいて楽しんでください。
![]()
=ナニアのガーデン情報=
植えたオクラやロングビーンがだんだん大きくなってきました。感謝祭に間に合うかな?バナナは花を切り取って実を大きくしているところです。スターフルーツも初めて3個実をつけました。でも収穫が遅すぎて全部鳥に食べられ、落ちてしまいました。でももう一つ2cm位の実をつけましたよ。今回は大事に育てたいと思っています。
それにしてもスターフルーツの実は葉ととてもよく似ていて、区別がつきにくいです。今回のパパイヤの木はなかなか実をつけてくれません。がんばれ!がんばれ! そうそう、チャイニーズの人が良く食べる小さいグリーンチリも大きくなってきました。(これは私の主人が食べたくて・・)私は辛すぎて食べられませんが、食べられる方言ってください。実がつきましたらオーガニック(有機)のチリを差し上げます。
![]()
Taska Naniaの名前について
Taskaはマレー語で保育園と言う意味です。NaniaはC.S.Lewisの7巻に及ぶ子供向けの物語「Narnia」から来ています。イギリスにいた時、友人の4年生の子供からこの本を借りて読みました。彼もちょうど読んでいた時で二人で興奮していろいろ話したのを覚えています。この本の中でNarnia国は現実には存在しない不思議な国です。子供たちは、そこへ行くのが大好きです。もちろんそこは夢見るような事ばかりではありません。いろいろなチャレンジも待っています。たくさんの経験を通して新しい発見をし、喜びにあふれた子供たちの様子を想像しながら、幼稚園を始める時、Narnia国のような場所、子供たちが喜んできてくれるような場所にしたいという思いから、Naniaにしました。その時Narniaでは少し発音しにくくNaniaの方がマレー語的だと思い、「r」をはずしました。
![]()
以下は過去のNania Newsから抜粋したものです
1999年7月 子供の行動
毎日元気いっぱいに「これをやりたい」「あれをやりたい」と意欲的に行動している子供達を目の前にして、「これが子供なんだ」「これが7歳までの子供の成長の仕方なんだ」と改めて感激させられています。
今回は少し大人と子供が行動するときの態度の違いにふれてみたいと思います。大人は行動する前にまず第一に考えます。この事をするのは、どういう意味があるのか、どういうやり方をしようかなど。そして第二に仲間に働きかけたりします。そこには感情的な関わりが生ずるようになります。そして最後に行動に移します。思考→感情→意志の順番です。では、七歳までの子供たちはどうでしょうか。子供達はとにかく自分のまわりのことを模倣しようとします。まず行動する。そして、その行動が遊びの中で繰り返されながら、「おもしろい」「楽しい」という感情が入ってきます。そして、だんだん「こうやってみよう」「ああやってみよう」という知的関心が目覚めるようになります。意志→感情→思考の順番です。このように大人と子供は全く逆の仕方で環境から影響を受けて行動していることになります。
この当たり前のことに、とても大きな幼児教育の鍵があるように思えます。くどくどと説明したり権威でものを聞かせることは この学齢の子供達の魂にとっては受け入れがたいものです。また、知的教育もマイナスの効果を表すことになります。彼らにとって大切なことは、模倣できる大人がまわりにいて、繰り返しのリズム(注:毎日規則正しく一定の生活のリズムを繰り返すということ)があれば、それを楽しく覚え、身につけていきます。大人が「覚えなさい、やりなさい」という必要がないのです。
また、大人がこういう想像力の豊かな子供達のことをよく知っていたら 「叱る」よりちょっと違った言葉かけをしてみることも出来ると思います。私の体験ですが、室内で飛行機を持って走り回っていた子がいました。「だめよ」「静かにしなさい」を繰り返しても、その子は一向に言うことを聞きません。自分自身もそれを繰り返しているうちに疲れてきて・・ でも、次の瞬間に「ちょっと飛行機の運転手さんにお話があるんだけど」と切り出すとその子は「なあに」と話を聞いてくれました。「空港に着く頃よね」と2人で話を続けて、その子は飛行機を静かに着陸させてくれたのでした。
子供の発達を無視したやり方をすれば、大人にとって子供はうるさくて煩わしいものになるのは当たり前だと思います。でも、大人が自分自身を振り返りながら、子供の成長を見守っていくことが出来たら、保育や育児がこの上もなく感動的なものになっていくのではないでしょうか。
2000年5月 繰り返しのリズム
小さい子供たちにとって繰り返しのリズムはとても大切な要素の一つです。そしてそのリズムを作るときにシュタイナー幼稚園で気をつけていることは、リズムが静と動(集中と拡散)と言う対極の中で繰り返されると言うことです。朝、子供たちは、まだ完全に目覚めていない状態で幼稚園にやって来るので、最初にそとあそびを持ってきて不自然に目覚めさせると子供たちの気持ちが分散してしまいます。ですから、室内で自由遊びをします。そして歌の時間になって、少し活動的になり、おやつの時間にまたみんなが集まり、食べ物に感謝しながら食べます。(感謝の言葉を食べる前に言ったり、ろうそくをつけて食べるのは、気持ちを静めて集中させるためです)その後、外に出て思いっきり動き、最後に中に入って静かにお話を聞くと言うリズムです。こういう対極のリズムを意識的に作り、繰り返す中で、子供たちの心が、体が、健康になり、安定していくと言うことです。
また、何でもやりたい、真似したいと言う意志の力の強い小さな子供たちは、同じ活動、同じ詩や歌を繰り返していると日に日にそれを自然に覚えていきます。「さあ、私の後について言いなさい」と一行ずつ教えたり「AはAPPLEのA」なんて教えるのは、大人の頭で覚えるやり方。それをやらせると、子供たちは喜びを感じることができず、頭ばかり刺激することになり、体が健康に育ちません。小さい子供たちは自然に繰り返す中で、喜びを感じながら体で覚えていくのです。
2000年7月 シュタイナーの幼児教育とは
「シュタイナー(幼児)教育って一口で言うとなんですか」と言う質問をよく受けます。それに対して「自然の素材を使ったおもちゃで自由に創造的に遊ぶ中で子供たちのファンタジーの力を育み、1日、一週間、一年の決められたリズムを繰り返し行い模倣を通して学ぶ中で、子供たちを安定させ、心と体を育てて行くという、いわゆるできるだけ目覚めさせない教育です」と答えています。知的に目覚めさせてしまうと、脳ばかりが刺激されて体が育ちにくくなります。7歳までのこの時期の子供たちは、一生の間で一番体・内臓器官が成長する時期です。それは身長も体重も生まれてからどんどん増えていくことでおわかりでしょう。こういう一番体が成長する時に、できるだけその体に大切な栄養分を与える活動をさせる、それが「遊び」なのです。子供たちを見ていると、とにかく次から次へといろいろなお話、遊びが生まれてきて、飽きることなく生き生きと遊んでいます。内なる力が育っていると感じます。ただ彼らがパワーレンジャーになって戦いの動きをしている時はそう言う内なる力を感じません。ですから幼稚園にはパワーレンジャーやウルトラマンは来ないことになっています。
また、子供たちは精神界を通って生まれてきたばかりで、一番精神界に近い存在とも言えます。子供たちを見ていると我々大人がもう持つことのない純粋さ、神聖さをよく感じます。自分自身の心を洗われることもよくあります。ただこの世の中での経験年数が少ないので、ぎこちないこと(お水、ご飯をこぼしたり、汚したりなど)はたくさんします。それは毎日繰り返し経験する中で学んでいけるものです。そう言う子供たちは、お祈りの言葉も天使さんやノームさんのお話も大好きです。幼稚園で、ろうそくをつけて毎朝お祈りの言葉を言ったり、天使さんの歌を歌ったりしているのですが、それは宗教的なものでは全くありません。小さな子供たちが自然に持ち合わせているものを行う中で、自然界のものへ、また高次の世界のものへ畏敬と感謝の気持ちを持つことを学ぶためです。ルドルフ・シュタイナーは、幼い時に自分よりも高次の存在に両手を合わせて祈り、畏敬の感情を持つことを学んだ子供は、大きくなって魂の力を持つことになると語っています。(幼稚園ではどんなに小さな虫が死んでもお墓を作ってお花を飾り,天国に行ってねと祈ります)
現在のような物質主義・競争主義の世の中で自分さえよければ良いと思う人がたくさんいます。本当に生きる力のある人間と言うのは、創造的に人生を切り開いていける人間、周りのことを自分のことのように考えられる人間、強くてやさしい魂の力を持つ人間だと思います。そして、そう言う人間を育てるため、シュタイナーの哲学、教育法は、大切な道を与えてくれると自分自身信じています。